技術とビジネスを接続するエンジニアリング ― 25年のキャリアで見えた「YESから始まる成長戦略」 ―

技術とビジネスを接続するエンジニアリング

― 25年のキャリアで見えた「YESから始まる成長戦略」 ―

私がITの世界に興味を持った原点は、小学生の頃に触れたパソコン「MSX」でした。 当時はまだ家庭にパソコンが普及している時代ではありませんでしたが、BASICでプログラムを書き、自分の書いたコードによって画面の中の世界が動く。その体験はとても新鮮で、「テクノロジーで何かを創る」という感覚に強く惹かれました。

この体験をきっかけに、将来はモノづくりに関わる仕事をしたいと願うようになり、情報系の大学院へ進学。ソフトウェアや情報システムの基礎を徹底的に学びました。 しかし、社会に出たタイミングはいわゆる「就職氷河期」。多くの企業が採用を絞る厳しい環境でした。それでも「テクノロジーを使って価値を生み出す」という軸だけは揺らがず、IT業界でキャリアをスタート。現在は3社目の企業でエキスパートエンジニアとして働き、キャリアは25年になります。

20代は「YES」と言えるエンジニアであること 20代のエンジニアにとって、技術力以上に重要な資質は、どれだけ「YES」と言って打席に立てるかだと思っています。

プロジェクトに参加すると、必ずしも自分の得意領域や、やりたい仕事だけを任されるわけではありません。むしろ最初は、経験のない技術スタックや未知の業務ドメインに触れる機会の方が多いものです。 しかし、エンジニアとして「OS(土台)」を太くするためには、未知の領域に対する挑戦が欠かせません。実際に振り返ってみると、私の技術者としての視野が劇的に広がったのは、自分の専門外のプロジェクトに「YES」と飛び込んだときでした。

また、若手のうちから意識してほしいのが「コミュニケーション能力」の定義です。 エンジニアリングの本質は単なるコーディングではなく、「顧客のビジネス課題を理解し、それを動くシステムへと変換するプロセス」にあります。 顧客との対話から真のニーズを汲み取る「要件定義」 設計の意図を論理的に伝える「ドキュメンテーション」 非エンジニアとの合意形成 こうした「技術を言葉にする力」こそが、プロジェクト成功の鍵となります。技術力と同じくらい、「ビジネスの言葉を理解する力」を磨いてください。

30代は「エンジニアリングの視座」を上げる 30代になると、キャリアのフェーズは「個人のアウトプット」から「全体の最適化」へと変わっていきます。 実装や開発の最前線は次世代のメンバーへ譲り、私自身はエンジニアリングの視座を上げることに注力しました。具体的には、システムアーキテクチャ設計や上流工程、さらには技術的な解決策を提案するプリセールス活動など、よりビジネスに近い領域へのチャレンジです。 このとき大切だと感じたのは、「自分のやりたいこと」だけに固執しないことです。

もし自分が目指している方向を「0度」とするなら、キャリアの過程では「120度」くらい違う方向の経験が必要になる時期があります。私の場合、それは泥臭い顧客交渉や予算管理、組織設計といった領域でした。 一見、技術から遠ざかるように感じるかもしれません。しかし、その「120度の遠回り」こそが、結果としてエンジニアとしての引き出しを増やし、強固なキャリアを形作ってくれるのです。

エンジニアに必要なのは「翻訳力」 エンジニアは往々にして、技術的な正しさを追求しすぎる傾向があります。しかし実際のビジネス現場では、常に100点の技術解が正解とは限りません。 むしろ重要なのは、以下の3点です。

1. ビジネス課題の本質を理解すること

2. 状況に応じた「適切な技術」で解決すること

3. 関係者全員が納得できる形で説明すること

私はシステムの仕組みを説明する際、よく「擬人化」を用います。「このシステムは受付係のような役割で、ここでデータを受け取って次の処理に渡します」といった具合です。 これは単なる説明テクニックではなく、技術とビジネスをつなぐ「翻訳作業」そのものです。ビジネスとエンジニアリングの架け橋に ITプロジェクトの多くには、ユーザーとエンジニアの間に深い溝が存在します。

ユーザーは「ビジネスの悩み」を抱え、エンジニアは「技術の論理」で語る。両者の言語が一致しないままでは、真に価値のあるシステムは生まれません。 だからこそ、ビジネスを技術に翻訳し、技術の価値をビジネスの言葉で語れる人材 が、これからの時代ますます求められています。

私はこれからも、エキスパートエンジニアとしての知見を発信し続け、エンジニアだけでなく、すべてのビジネスパーソンにとってヒントとなるような架け橋でありたいと考えています。技術とビジネスの間にあるギャップを埋めること。それが、25年のキャリアを経て見つけた、私の揺るぎない役割です。

 

https://note.com/gay_orchid8642

 

 

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