「浄水器は“機械”ではなく“食材”」——透明性で守る、水と暮らし

ノース・ウォーター株式会社 代表取締役 山岸悟史さん

19年前に父が立ち上げた浄水器メーカーを引き継ぎ、いまも第一線で製品づくりと普及に奔走する山岸悟史さん。
“浄水器=食品”という独自の視点、老朽化する水道インフラへの問題意識、そして次世代の食と水を見据えた研究開発——。
語られたのは、技術と倫理を両輪に「後悔しない選択」を積み重ねる経営の物語でした。

起点――父の挑戦を受け継いで

創業者は山岸さんの父。還暦を機に、従来の事業から一転して浄水器の工場を設立しました。
地域活動の中で“苗木の成長には水が決定的”と気づき、水の専門家との出会いからメーカーとしての道へ。
その約3年後、山岸さんが事業を承継。最初は大手卸向けの出荷から始まり、のちに「透明性のある設計」を前面に出す差別化へと舵を切りました。

製品哲学――「中身が見える」ことは約束である

山岸さんは、浄水器を食品として扱うと明言します。
理由は明快です。水道管の老朽化で錆や不純物が混入し得る現実がある以上、“何を、どう除いて、どう仕上げた水なのか”が可視化されていなければならない。
だから同社は、内部構造が見える設計や、ユーザー自身が状態を確かめてカートリッジ交換時期を判断できる運用を採用。
「特定物質の除去性能だけを謳っても、全体の安全・品質は測れない」という思想が芯にあります。

苦難――“疑念”と“不具合”にどう向き合うか

承継直後は、「浄水器=怪しい」という偏見に心が折れそうになったと言います。
さらに過去には、出荷約6,000台の一部で塩素が出るという重大課題も発生。徹底検証の末、指定パーツ(蛇口コック)の不具合が原因であることを突き止め、原因究明と再発防止で信頼を取り戻しました。
山岸さんは振り返ります。

> 「目の前の困りごとを淡々と一つずつ解く。それが信頼になる。」

 

続ける理由――“食”と“環境”の未来のために

山岸さんの視線は、浄水器の先に広がる食と環境のサプライチェーンにも向きます。
電解水の洗浄活用、無農薬・無肥料のアプローチ、太陽光の周波数を再現する照明、水耕栽培や陸上養殖の技術開発……。
将来の食糧リスクを見据え、「電気代や農薬に過度に依存しない方法」を模索し、実装までを視野に研究を続けています。

組織観――“価値観の合う仲間”とプロジェクトで進める

同社は現在5名体制。社員数の拡大それ自体を目的にせず、価値観の揃った外部人材とプロジェクトで組むのが山岸さんのスタイルです。
年間200〜250日の出張で各地を回り、ユーザーや販売店のリアルな課題に触れ続ける——。
「人の意識が最後の決め手。同じ方向を見る仲間とミッションを遂行するほうが、結果的に顧客にとっても良い。」

メッセージ――「死ぬときに後悔しない選択を」

起業家への言葉はシンプルかつ本質的です。

> 「成功の近道に見える誘惑はいつでもある。原点の思いに嘘をつかないこと。
自分を信じ、死ぬときに後悔しない選択を重ねてほしい。」

 

今後の展望(要点)

水耕栽培・陸上養殖の研究開発を推進(電力・農薬依存を抑えた手法を模索)

電解水の洗浄活用など、知られていない有効技術の普及

透明性ある製品設計とユーザー主導のメンテナンス体制を継続強化

 

プロフィール/会社情報

企業名:ノース・ウォーター株式会社(代表取締役 山岸悟史)

本社:北海道函館市湯川町1-1-9

大阪オフィス:大阪市中央区大手通1-3-11

Web:https://north-water.co.jp

Mail:info@north-water.co.jp Tel:090-3161-6120

事業:家庭用浄活水器の製造・販売/ユーザー主導のメンテナンス設計/水と健康に関する普及啓発。(上記情報は添付プロフィールより)

 

まとめ

“中身が見えること”を製品と運用に織り込み、ユーザーとともに安全と品質をつくる。
山岸さんの“食材としての浄水器”という思想は、装置の先にある生活と未来を見据えています。
水を起点に、食・環境・教育の領域まで。
透明性を武器にした静かな革新が、今日も各地で進んでいます。

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