「専門家が一緒に子育てを」 自身の経験から生まれた、家庭·園·学校をつなぐ教育インフラ カームタイム株式会社 代表取締役 塚本 麻理

「専門家が一緒に子育てを」 自身の経験から生まれた、家庭·園·学校をつなぐ教育インフラ

カームタイム株式会社 代表取締役 塚本 麻理

 

「家庭だけで悩みを抱えがち」な子育ての現状を変えたい──その強い思いから、カームタイム株式会社は誕生しました。代表の塚本まり氏は、ユニークな特徴を持つ長男と未熟児として生まれた次男の子育て経験を通じて、「子育てにこそ専門家の存在が必要」であることを痛感しました。

カームタイム(穏やかな時間)という社名が示す通り、「親が安心して子育てできる環境を作り、子どもに笑顔で接する時間を持ってほしい」という願いが込められたこの会社は、ナニーサービスと専門家によるサポートを提供しています。

今回は、塚本代表の起業の原点、理念である「チーム力と信頼関係」の構築、そして目指す「子育てのインフラ」というビジョンに迫ります。

 

起業の原点 ― 専門家との出会いが変えた子育て

塚本代表の起業のきっかけは、長男がプレスクール時代に、“発達の面で少し気になるところがあるかもしれません”と指摘を受けたことでした。
その瞬間「まるで雷が落ちたような衝撃で、身体の中に電気が走るような、震えるほどの怖さを感じました。」

その後も幼稚園や小学校での呼び出しが続き、
「知られたくない」と思ってしまう気持ちや、
他の子と比較してしまう葛藤に苦しんだという。

「でも心のどこかで、“この子にはこの子の良さがある。
親が守らなければだれが守るのか”という思いがありました。」

こうした揺れの中で、ひとつの結論に至った。
「子どもの良さを失わせないように伴走し、自分で自分を守れる力が育つまで支えることが親の役割だ」と。

 

暗中模索の中で専門家に相談した経験が、事業の核となりました。

「専門家たちが子どもをサポートしてくれるだけでなく、私の気持ちも聞いてくれ、学校とのやりとりにも入ってくれたことがとても心強かったです。専門家が入ると学校の対応も変わり、環境も変えてくれました。これが欲しかったんだと納得しました。」

この経験から、家庭だけで悩みを抱え込むのではなく、専門家がそばにいて、親が安心して子育てできる環境を作る必要性を強く感じ、会社を設立。カームタイムのナニーは、豊かな経験を持つ幼保教育の専門家が、「ファミリービルディング」という考え方に基づき、子どもの個性と家族の成長を支援しています。

そして、ナニーと各専門家がチームとなり様々な困りごとを共に解決すべく力を合わせていきます。

 

経営哲学 ― チーム力と支える人の安心

カームタイムが最も重視するのは、信頼関係とチーム力です。

「家庭と専門家と学校がチームになってお子さんを支えていくことをすごく大切にしています。どこかしら抜け落ちるだけでも支援が届かなかったり、うまく回らなかったりするので、チーム力は大事です。」

また、支援する専門家の人たちが安心して活動できる環境を整える、「支える人を支えていく」ことも経営の重要な役割だと強調します。

専門家の採用基準にもこだわりがあり、Calm Timeの専門家は、

“診断結果というラベル”ではなく “目の前の子ども本人” を先入観なく丁寧に見る

という姿勢を徹底している。1000人いれば1000通りの支援が必要。そう考える専門家とチームになりたいと考えています。

 

サービスの広がり ― 地域、そして世界へ

ナニーが実際に家庭に訪問するサービスは東京近郊が中心ですが、カームタイムはオンラインを活用することで活動範囲をボーダレスに広げています。

「オンライン子育て相談·オンライン専門家サポート」という形で、首都圏以外や、最近では海外在住の日本人家庭からも連絡が来るようになりました。

オンラインでの展開では、働く親御さんのスケジュールに合わせて、夜の時間帯にも専門家が支援やトレーニングを行う体制を整えています。地域や時間に縛られず、必要なご家庭にサポートが届く仕組みです。

子どもは都市部だけでなく、日本中、そして世界中にいる。
だからこそ、専門家につながりにくい地域に住む家庭にも、
“距離に関係なく寄り添う存在”としてオンラインで支援を届けることを大切にしています。

 

今後のビジョン ― 子育てのインフラへ

塚本代表の3年、5年先の大きなビジョンは、カームタイムを「子育てのインフラ」にすることです。

「カームタイムがあればどこにいても安心だと言っていただけるような仕組み作りをしていきたいです。家庭と園と学校や地域が緩やかにつながりながら、親も子も専門家も穏やかに支え合える社会を作ることです。」

東京から全国、そして世界へ。どんな子にも同じようなリスペクトを与えて育ってほしいという願いのもと、この支援の輪を広げていくことを目指しています。

現在の経営モチベーションについては、「上の子がちょうど反抗期に入っていて、今も同時進行で戦っている。同じように当たっているママたちと一緒に頑張っていこうという気持ちがモチベーションになっている」と、自身の経験が原動力であることを語りました。

 

起業を目指す方へのメッセージ

最後に、これから起業しようとしている方たちへ、塚本代表は自身の経験に基づいたアドバイスを送ります。

「自分の日々の経験で、こういうことがあったらいいなとか、こうしてもらいたいなと思うことを書き留めておくといいと思います。」

同じように考えている人はたくさんいるため、SNSなどでつながり、思いを共感できる人たちと何かを行動し始めることが出発点になると強調します。

「最初は一人でもいいからやっていくこと、一歩を出すことが大事だと思います。」

 

まとめ

カームタイム株式会社は、代表である塚本麻理氏の切実な子育ての経験から生まれた、愛と専門性に満ちた事業です。

「チーム力と信頼」を軸に、専門家が家庭に寄り添い、親に穏やかな時間を提供することで、子どもの個性を最大限に尊重する社会インフラの構築を目指しています。その挑戦は、子育ての不安を抱える多くの家庭にとって、力強い光となっています。

 

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