売上より信頼を追求。光武商事が証明する、探偵業で最も重要な「誠実」の価値
光武商事株式会社 代表取締役 光武 眞依
探偵業に「誠実さ」という価値を徹底して貫くことで、業界のイメージそのものを変えようと挑戦しているのが、光武商事株式会社の光武眞依代表です。元々保険会社に勤めていた光武代表は、本質的な価値提供を求め、困っている人々の「次のステップ」に必要な真実を届ける探偵の道を選びました。
「売上だけを追求するのではなく、困った時に頼っていただける民間のインフラのような存在になりたい」と語る光武代表の経営哲学、そして子育てと両立しながら業界の透明化に挑むそのビジョンに迫ります。
起業の原点 ― 「本質的な価値」を探して
光武代表は、キャリアのスタートとして保険会社に約1年半勤めていましたが、顧客に対して「本質的な価値提供ができていない」と感じ、退職を決意しました。次に選んだのは、本当に困っている人からの相談に対し、真の意味で対応できる探偵事務所でした。
現場で7年間経験を積んだ後、妊娠を機に、探偵業を続けるために経営側に回ることを決意し、出産から半年ほどで光武商事株式会社を立ち上げました。
現在、同社は目黒で探偵事務所を営み、法人のお客様が7割、個人のお客様が3割という事業構成です。弁護士からの依頼による離婚案件の証拠取得や、経営者からの紹介による法人案件など、年間で200件程度、毎月20件ほどの新規案件を扱っています。
「(探偵の仕事は)証拠があれば次のステップに進めるため、クライアントや弁護士から感謝されることも多いです。」
業界のイメージ刷新へ ― 「民間のインフラ」を目指して
光武代表は、経営側に回ったことで、探偵業を「ポジティブに進めていけるか」を深く考えるようになりました。
光武代表が目指すのは、「怪しい」「グレー」といったイメージを払拭し、「困った時に相談される民間のインフラのような存在」になることです。その認知度を広げ、業界のイメージを刷新するために、国会議事堂の衆議院会館でのセミナー登壇や、ラジオ出演、東京ビッグサイトでの危機管理産業展への出展など、積極的な広報活動を展開しています。
経営の信念と人材育成 ― 「誠実さ」と「現場主義」
光武商事の規模は調査員約20名の小規模な事務所ですが、光武代表が経営において最も重視しているのは「誠実さ」です。
「探偵業は誠実さが最も重要で、小さなことでも嘘をつくような人とは関わりません。」
また、光武代表は、「どうやったらうまくいくか」を考えるマインドを持つ、ポジティブな人との関わりを重視しています。
人材育成においても、その哲学は徹底されています。現場経験こそが重要であるとし、「とにかく現場に出す」ことを重視。現場経験がないと分からないことが多いため、忍耐力のある人材を求め、一人前になるには約3年の現場経験が必要だと考えています。
一方、光武代表自身は2歳の息子を持つ母親でもあり、子育てとの両立という課題にも日々向き合っています。時には会食に子どもを連れて行くこともあるなど、多忙な日々を送っています。
今後の展望 ― 規模よりも信頼を
光武代表は、会社の規模が大きくなっても、根本の信念を忘れたくないと語ります。
「売上だけを追求するのではなく、困った時に頼っていただける場所になりたいです。」
現状、案件に対して人手が足りていないため、クライアントのニーズに応えるべく、適宜人材を増やしていくことを検討しています。会社の規模の目標はありませんが、クライアントに誠実であること、そして社会に貢献できる「民間のインフラ」として機能し続けることが、光武商事の揺るぎないビジョンです。
起業を目指す方へのメッセージ
最後に、自身の経験を踏まえ、これから起業を目指す方へ、光武代表からメッセージをいただきました。
「私自身、これまでのキャリアにおいて『あの時やらなければ良かった』と後悔する決断は一切ありません。仮に困難に直面したとしても、『やれば良かった』と思う経験は積み重ねてきました。もし今、一歩踏み出すことを悩んでいる方がいらっしゃれば、まずはトライしてみることで、予想外に道が開けると確信しています。母として、また経営者としての挑戦は決して容易ではありませんが、助け合い、前向きな姿勢を忘れずに共に乗り越えていきましょう。」
まとめ
光武商事株式会社は、保険業界から探偵業へキャリアを転換した光武代表が、「本質的な価値提供」を求め、探偵業という専門性の高いフィールドで「誠実さ」を最も重要な価値として追求しています。
自身の信念を貫き、業界のイメージ刷新と、人々の困難な状況を支える社会的インフラとしての役割を目指す光武代表の姿勢は、起業を志すすべての人々にとって、力強いインスピレーションとなるでしょう。
