今回お話を伺ったのは、NPO法人ママママルシェの代表・熊崎さん。
介護職から一転して「母親支援」という分野に踏み出し、マルシェイベントやコミュニティスペースの運営を続けてきました。自身の経験を糧に、母親たちが「楽しめる居場所」を作り続ける活動の軌跡と、今後の展望について語っていただきました。
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起業の原点 ― 足つぼマッサージからマルシェへ
もともと介護福祉士として働いていたくまざきさん。24歳で第一子を出産後、専業主婦になり、地域の親子サークルで活動を始めたことが転機となりました。
「子どもを抱っこしたまま受けられる足つぼマッサージ」を提供し、その延長で参加したマルシェが楽しくて、自ら主催するようになったそうです。
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法人設立と活動の広がり
こうして始まった活動は広がりを見せ、NPO法人ママママルシェとして法人化。設立から10年、9期目を迎えました。
コロナ前は月5〜6回、年間で60回以上のイベントを開催。ハンドメイド作品や雑貨を通じて、多くのママたちがつながる場を提供してきました。
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コロナ禍での転換 ― 新しい拠点づくり
7年目に訪れたコロナ禍でイベントは全て中止に。
「すごく忙しかった時期だったので、立ち止まるきっかけにもなりました。」
その後、拠点を持つ機会に恵まれ、レンタルスペースや親子カフェなど、より継続的にママたちが集えるコミュニティへと活動の形を変えていきました。
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SNS活用支援という新たな挑戦
さらにコロナ後は、新しい取り組みとしてInstagram活用のレッスンや運用代行をスタート。
「初心者向けにマンツーマンで教えたり、商工会や団体向けの講座をしたりしています。SNSを通じて活動の幅を広げたいママたちの後押しをしています。」
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活動のやりがい
一番の喜びは、ママたちが「楽しかった」と笑顔で言ってくれる瞬間。
お客さんとして来ていた人がスタッフになったり、産休・育休中のママが活動を通じて自信を持ち、社会復帰していく姿を見るのが大きなやりがいだといいます。
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課題と向き合う
一方で、運営には課題もあります。
スタッフは子どもの成長に伴いライフスタイルが変わるため、入れ替わりが多いこと。さらに、社会貢献と運営資金の両立という難しさ。
「参加しやすい価格でありたいからこそ、スポンサーや協賛を集める工夫が必要です。」
こうした葛藤も率直に語ってくださいました。
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大切にしている価値観
「まずは自分自身も楽しむこと。そして、ママたちのアイデアや夢を形にする手助けをしたい。」
その想いを軸に、これまでの活動を続けてきたそうです。
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今後の展望 ― ママ起業家の応援へ
これまでは子育て中のママたちの居場所づくりに注力してきましたが、今後はさらに一歩踏み出し「ママ起業家」を応援する体制をつくっていきたいと考えています。
「考えすぎて動けなくなる人も多いので、まずは小さくても形にしてみることを応援したい。失敗してもやり直せばいいんです。」
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原動力とメッセージ
活動の原点には、自身の子ども時代の経験があります。
「母が怖い存在だったからこそ、ママたちには笑顔でいてほしい。そのための時間と空間をつくりたいと思っています。」
そして10年続けてきた今は、支えてくれた人たちへの恩返しがモチベーションになっているそうです。
最後にこれから起業を目指すママたちへ、温かいメッセージをいただきました。
「ママだからって諦めずに。ママだからこそできることがたくさんあると思うので、ぜひ挑戦してほしいです。」
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プロフィール
NPO法人ママママルシェ
子育て中のママたちの居場所作りをしています
フレスポ春日井内にて
レンタルスペースFikaを運営
毎週木曜日は見守りサポート付おやこカフェを開催中