一般社団法人大人の小学校 代表 山城さん
「やらない後悔より、やった後悔を」 人生100年時代の“学び直し”を応援
東京都北区十条を拠点に、高齢者を中心としたiPhone・iPad教室を運営する「一般社団法人大人の小学校」。
代表の山城さんは、単なる操作指導にとどまらず、「学ぶ喜び」と「つながる楽しさ」を提供し続けています。
その活動の根底には、「いくつになっても挑戦できる社会をつくりたい」という温かな想いがありました。
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学びの原点 ― 高齢者に“もう一度、学ぶ場”を
2015年にスタートした「大人の小学校」。
「最初はパソコンインストラクターとして1人で活動していましたが、もっと身近に楽しく学べる場所をつくりたいと思ったんです。」
そう語る山城さんは、自ら13台のiPadを購入し、十条に小さな教室を開設。
対象は60歳以上、最高齢はなんと90歳。
「生涯学習という言葉があるように、学び続けることが健康にも生きがいにもつながるんです。」
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「大人の小学校」という名前に込めた想い
ユニークな名称について伺うと、笑顔でこう答えました。
「通って学ぶといえば“学校”ですよね。私たちは大人ですが、子どもの頃のようにワクワクしながら学べたら素敵だなと思って、この名前にしました。」
懐かしさと楽しさが共存する場所──それが「大人の小学校」の原点です。
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コロナ禍を乗り越えて ― オンラインでつながる力
コロナ禍では教室運営が一時中断。
「80代の方にZoomの使い方を教えるのは本当に大変でした(笑)。
最初は3人をつなぐのに30分。でも今では2〜3分で入れるようになりました。」
現在は、月2回の対面教室と月1回のオンライン教室を組み合わせ、十条・赤羽・川口の3拠点で活動を継続しています。
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意欲を引き出すコミュニティ ― 学びを「続ける」仕組み
10年以上学び続けてきたNLP心理学をベースに、意欲を引き出すコミュニティ「RA2倶楽部(ララクラブ)」も設立。
「学びの場が終わった後、日常に戻ってやる気が下がるのがもったいない。
学び続ける仲間がいれば、モチベーションも続くんです。」
このコミュニティには30代から60代まで幅広い世代が参加。
月4回、サロンのような形で交流が行われています。
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教室での喜び ― “できた!”瞬間の笑顔
「受講生が“あ、できた!”と感じた瞬間の表情が本当に嬉しいんです。」
Excelのオートフィル、LINEでの写真送信、Zoomの参加方法……。
その一つひとつに達成感があり、学ぶ人の目が輝く瞬間を、日々目の当たりにしているといいます。
「人は“楽しい”と感じた時に一番覚える。だから教える側も楽しむことを忘れないようにしています。」
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今後の展望 ― 講師育成と“次の世代”へのバトン
次なる挑戦は、一般社団法人 大人の小学校を母体としたOtonasacademyとして「心を動かす対話術」と「講師養成講座」を開講。
AIやCanva(キャンバ)などのツールを活用し、若い世代にも“教える力”を届けたいと考えています。
「特に子育て中のママさんが、自分の経験やスキルを活かして講師になれるようサポートしていきたいです。
ボランティアでも、親子のコミュニケーション講座などを広めていけたら。」
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メッセージ ― 「やらない後悔より、やった後悔を」
「やりたいと思ったら、ぜひやってみてください。
やらない後悔より、やった後悔の方がずっといい。
たとえうまくいかなくても、“自分には合わなかった”とわかるだけで次につながります。」
さらに、自己肯定感の大切さも強調します。
「多くの方が自分を過小評価しすぎています。
小さなことでも“よくやったね”と自分を褒めることで、行動する勇気が湧いてきます。」
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まとめ
「大人の小学校」は、単なるスマホ教室ではありません。
“学びを通じて人が輝く場所”であり、“挑戦を応援するコミュニティ”です。
「人生100年時代」と言われる今。
学び続けることの楽しさを伝える山城さんの活動は、多くの人に「もう一度、夢を追う勇気」を与えています。