今回お話を伺ったのは、日本オーガニックワイン協会を立ち上げ、オーガニックワインの普及とコミュニティづくりに尽力されている堀井さん。
起業の経緯から協会設立への想い、事業のリアルな課題、そしてこれからの展望についてお話しいただきました。
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起業の原点 ― 洋書から洋酒へ
もともと堀井さんは、24年ほど前から書籍の輸入販売を行っていました。しかし、出版業界の変化により本が売れにくくなった時期に、イギリスの出版社からオーガニックワイナリーを紹介されたことが転機に。
「いくつか事業の候補があった中で、一番自分に合っていると思ったのがオーガニックワインでした。」
こうして約15年前にオーガニックワイン輸入会社を設立し、事業の第一歩を踏み出しました。
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協会設立の背景 ― 「一人より、みんなで広めたい」
輸入事業を続けて8年目、ふと感じたのは「もっと仲間と一緒にやったら楽しいのでは?」という想い。
そこから2019年、日本オーガニックワイン協会を設立。3時間の座学と実技を組み合わせた認定講座をスタートさせ、これまでに217名ものオーガニックワインソムリエを輩出してきました。
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コミュニティの力 ― 1000回を超えるワイン会
協会設立と並行して、東京都内を中心に定期的なワイン会を開催。これまでに累計1000回以上行われ、参加者は初めての方からリピーターまで幅広く、交流の場としても定着しています。
「お酒が飲めない方でも楽しめるように、ジュースやソフトドリンクも用意しています。誰でも気軽に参加できるのが魅力です。」
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事業の課題 ― 輸入の現実
一方で、オーガニックワイン輸入には課題も。
「キャッシュフローが本当に大変です。ワイナリーへの支払い、通関費用や輸送費が重くのしかかります。円安の影響もあり、輸入事業は厳しい状況です。」
だからこそ、新たな挑戦として「日本酒や北海道ワインを海外へ輸出するプロジェクト」にも取り組み始めています。
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伸びた事業と今後の展望
近年、事業を大きく前進させたのがオーガニックワインソムリエ認定講座です。
「講座を通じてオーガニックワインの魅力を体系的に学んでもらえることが大きな強みです。受講いただいた方が、ご自身の生活やお仕事の中でオーガニックワインを広めてくださる。その輪が広がっていくことが一番の喜びです。」
今後は、講師を育成し、自分以外の方も講座を開催できる仕組みづくりを進めるとのこと。
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社長のライフスタイル ― 続ける強さ
還暦を迎えた堀井さんは、合気道を続けており初段を取得。8年間、毎朝の運動を欠かさず、1日2食の生活も実践しています。
「事業も健康も、続けることが一番大事だと思います。」
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起業家へのメッセージ
「やり続けることが大切です。たとえ赤字でも会社を回し続ければ、新しい出会いやチャンスが生まれます。『石の上にも三年』といいますが、3年を越えたら5年、次は10年と続けること。その先に見える景色があります。」